先日、東京で催された、私の習っている先生の、チェンバロリサイタルに行ってきました。長年、ヨーロッパで演奏活動をしてこられたチェンバリストです。

先生の奏でられるチェンバロの響きは、どこまでも透明で美しく、和声の移り変わりや、織りなすような音楽の動きが、透けて見えるようでした。会場いっぱいに、優美に気高く響きわたるような、そして、限りなく宇宙の彼方まで届いていくような・・・演奏に、心惹きつけられました。

私は、初めは、舞台に向かって左寄りの前の方(奏者の手が見える位置)の座席に座っていたのですが、休憩時間に右寄りの席に移動して、聴きました。すると、全然音が違うことにびっくり!!
前半も音を楽しめていたけれど、後半の位置では、より響きが素晴らしく、音が心や身体にくっきりと自然に入ってきました。
左側で聴いていらした方々にも、そちらの響きを味わっていただきたいと、強く思いました!

ところで、皆さんもピアノのコンサートで、手の見える側に座られることが多いかもしれませんが、実は右寄りの方が、断然、音は良いということをご存知でしょうか?

ピアノもそうですが、チェンバロは特に、響板で音を響かせていて、音の指向性があるので、聴く位置によって、聴こえ方が大きく異なってきます。また、会場の条件によっても、その差は大きくなります。

皆さんが、これからピアノやチェンバロのコンサートに行かれる機会があれば、是非、手が見える位置と逆の方に座って、聴いてみてください。
とは言っても、コンサートの楽しみ方はいろいろなので、奏者の手の使い方や指の動きを見て、楽しみたい!とおっしゃる方も多いかと思います。

そこで!! 私のように、休憩時間に席を変えて、二つの位置で音楽を味わうのも、コンサートを倍!!楽しむ方法かもしれませんね。